「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、味噌汁椀をはじめとするお勧めのアイテムなどをご紹介していきます。
「漆」の字をよく眺めてみてください。「漆」の字の「つくり」の構成は「木」+「人」+「水」から成り立っています。もちろん液体なので、「へん」は「さんずいへん」です。
なぜ、「つくり」にこの三文字があるのかというと、「漆」の特性と非常に関わりが深いです。
輪島塗職人が砂漠のような乾燥地帯で漆器を作ろうとすると、全く乾かず作業になりません。アマゾンのような湿地帯だとすぐに乾きます。「乾く」という表現をしていますが、漆は水分と反応して固まるのです。そして、外側から乾いていくので、内部の乾きは熟練した職人の目と手によって判断されます。「漆」の「つくり」の「人」は、「職人」を意味し、「人」の手によって「ウルシの木」から採取された「漆」を、人が絶妙な湿度と温度の下、乾かしていくのです。湿度が高過ぎれば、急速に乾き、シワになってしまいます。
「漆」は、「漆器」の原料ですが、完成した「漆器」もゆっくりと時間をかけて空気中の水分を取り込んで、より強く美しくなっていきます。人の手、口が漆器に触れた時に優しく吸い込まれるような感覚になるのは、「漆」に人の肌の「水分」が吸われるからです。
「漆」は、数少ない自然界の塗料であり、質感は抜群、抗菌性に優れ、工芸美を兼ね備えています。田谷漆器店は、輪島塗にこだわらず、他産地の漆器の修理、こんなものに漆を塗ることができないかというご依頼に、積極的に取り組んでいます。自然由来の素晴らしい塗料である「漆」。田谷漆器店では漆の塗装技術の販売をしています。