「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、お勧めのアイテムなどをご紹介していきます。
年々高まる日本酒ブーム。
国内だけでなく海外にも広がっています。
よりおいしい日本酒を求める人が増えるなか、全国の酒蔵では品質向上や商品開発に注力。ネットショッピングの活況も追い風となり、個性あふれるお酒が手に入りやすくなりました。
となると、
湧き上がってくるのが、こんな欲求です。
「いいお酒を、いい酒器で飲みたい。」
このように器からこだわり、お酒を雰囲気から楽しんでいきたいという方からお問い合わせいただくことが増えてきました。
「いやいや、どの酒器で飲んでも、そんなに変わらないんじゃない?」と思われた皆さま。
輪島塗の酒器は⽇本酒の味をさらに深みのあるものに変えてくれます。
お酒にこだわる⽅には是非とも輪島塗の酒器を試していただきたい、というのが我々の考えです。
そこで今回は、
いい日本酒を飲むときに輪島塗の酒器をオススメしたい理由と、
輪島塗の酒器の魅力について解説したいと思います。
目次
1.「生き続ける漆」が酒器の口当たりを変える
2.輪島塗なら熱燗も冷酒も飲みごろをキープ
3.「酒器を使い分ける」という楽しみ
1.「生き続ける漆」が酒器の口当たりを変える
日本酒ブームとともに、こだわりの造り手が増え、
さまざまな日本酒を楽しめる今。
手をかけた良質な日本酒ほどデリケートなため
使う酒器によっても味に違いが生じます。
では、なぜ輪島塗の酒器がオススメなのか?
理由は、なんといっても
輪島塗独特の「口当たり」の良さにあります。
「下塗り」→「中塗り」→「上塗り」と、
漆を塗り重ねることで生まれる、なめらかな口当たり。
唇をつけると飲み口が吸い付くようにフィットし、
思わず顔がほころびます。
さらに面白いのは、漆が「生き続けている」こと。
器の完成後も、水分を取り込みながら「現在進行型」で固まり続けるため、使うたびに口や手の水分が漆へと馴染み、口当たりも手触りもバツグンの器へと成長するのです。
使っていくことで⾃分⾊に変わっていく酒器。
お酒にこだわっている⽅にこそこの感覚をお伝えしていきたいと考えています。
■Point
使い込むほどに、じぶん仕様の酒器へと成長
2.輪島塗なら熱燗も冷酒も飲みごろをキープ
使い続けるほど虜になる、輪島塗の酒器。
その魅力は、口当たりだけにとどまりません。
以前の記事でも書きましたが、輪島塗の大きな特長の一つといえば、
漆器が持つ、優れた「断熱性」。
下地となる自然木と珪藻土(けいそうど)が熱を外へ逃さず、飲みごろの状態を保ってくれます。
たとえば、片口(かたくち/一方に注ぎ口のある酒器)に熱燗を入れても素手ですぐ持つことが出来ますし、ぐい呑に冷酒を注いでしばらく経っても、結露しにくく適温をキープしてくれます。
季節を問わず使えること、また輪島塗は修理しながら半永久的に使い続けることが出来ますから、これほどコストパフォーマンスに優れた酒器はないでしょう。
現状、酒器にこだわりがなかった⽅は、半永久的に⾃分とお酒を楽しんでくれるパートナーとなるような酒器を検討することをお勧めします。
■Point
四季を通して使える、コスバ抜群の一生モノ
3. 「酒器を使い分ける」という楽しみ
ちなみに、田谷漆器店が金沢市で展開している飲食店『CRAFEAT(クラフィート)』では、輪島塗の漆器を用いた本格和食をご提供しています。
料理と合う食器があるように、輪島塗の酒器もタイプによって日本酒との相性があるなと感じます。
いろんなタイプの酒器を使い分けて、
味わいの違いを確かめてみるのも、楽しいもの。
たとえば
●輪島塗 ぐい呑「魚泳グ(さかなおよぐ)」
器の底に縁起のいい「鯉」・「河豚(ふぐ)」・「鯛」を蒔絵で描いた、ぐい呑。木地(きじ)と呼ばれる器の芯に補強用の布や漆を重ねて生まれる、ぽってりしたフォルムが手に馴染みやすく、厚みのある飲み口がクセになります。
まろやかな甘口の日本酒にぴったり。
●輪島塗 ぐい呑「楚々(そそ)」
「魚泳グ」が定番の形なら、こちらはアレンジを加えた進化系。飲み口を極限まで薄くすることで、シャープな飲み口や酒質がダイレクトに伝わります。
辛口のお酒を一層引き立ててくれる酒器。
●輪島塗 酒器揃え「月と菊」
「熱燗を入れても素手ですぐ持つことが出来る」とお伝えした片口に、揃いのぐい呑をセットにした酒器揃え。輪島塗の誇る沈金技法で細やかな菊の文様を施してあります。
暖かい時期には、片口のなかで冷酒の香りが開く様子を楽しみ、雪ふる季節は熱燗から立ちのぼる甘い湯気に酔いしれる。シーンごとに贅沢な時間をもたらしてくれます。
ご紹介した3つのうち「酒器揃え」は、日本酒好きのご夫婦が自宅用に買い求められることが多く、ぐい呑は自分用、また贈答用にも人気です。
ご希望があれば名入れも承っておりますので、定年退職を迎える上司や、転勤・転職を控えた同僚・友人へのはなむけにもオススメです。
【田谷漆器店・田谷昂大】