「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、お勧めのアイテムなどをご紹介していきます。
みなさんは輪島塗と聞いて、何をイメージされますか?
旅館や料亭で使われる高級漆器、お正月だけ出番を迎える屠蘇器や重箱、価格が高くて手が出ない…。
いずれも間違いではありませんが、それだけではありません。
輪島塗には大きく分けて二つのタイプがあることをご存知でしょうか?
一つは華美な蒔絵や沈金を施し、多くの方がイメージされている「ハレの日」向け。
もう一つは、控えめな模様、または無地でシンプルに仕上げた「普段使い」の輪島塗です。
そもそも輪島塗の起源をたどってみると、特別なものではなく、能登で暮らす人々が普段使いできる、丈夫で実用的な器として作られていました。
新たな生活様式が定着し、おうち時間のウェイトが高まる今。
毎日使う食器にも快適さと豊かさを求めて、普段使いの輪島塗を買い求める方が増えています。
■Point
ハレの日以外にも、輪島塗を使う方がかなり多くいらっしゃいます。
でも輪島塗は一般的な食器と比べると、確かに高価です。
しかし、それには理由があります。
輪島塗は、製造工程ごとに専門の職人が担当する分業制で作られ、124もの手作業を経て完成します。
世界的にも類を見ない細分化されたシステムによって、美しさと丈夫さを兼ね備えた輪島塗独特の「堅牢優美」な高品質を維持してきたのです。
手間のかかり具合によって差はあるものの、普段使いの品であれば手の届く価格帯ですし、仮に漆が剥げても修理が可能。
「一生モノ」、いえ、親から子へ代々受け継げるモノと考えれば、輪島塗ほどリーズナブルな器はありません。
今回は輪島塗をまだ使ったことがない方にも勧めたい“普段使いのお椀”について解説していきます。
1. 最初に輪島塗を手に入れるなら、「普段使いのお椀」を選ぶべき理由
では、輪島塗をはじめて手に入れるなら、どんな食器を選べば良いでしょう?
なんといってもお勧めは、普段使いできる「お椀」です。
なぜなら、使える場面が格段に多いからです。
もともと日本人は、器を手に持って汁物をすすったり、ご飯をかき込んだりと、器に直接口をつけて味わう日本特有の食べ方に親しんできました。
お椀はそうした習慣に馴染むだけでなく、輪島塗の特長である「断熱性の高さ」と「肌触りの良さ」を存分に感じていただくことができます。
そのため、シンプルなお椀が一つあると実に便利です。
お椀には様々なタイプがありますが、たとえば汁椀であれば、お味噌汁に限らず、シチューやポトフを入れれば手のひらに伝わる温もりは心地よく、中身の熱さを保ちます。
保温性だけでなく保冷性にも優れているので、アイスクリームなどの冷たいデザートを盛り付ければ、手の温度が伝わりにくく、冷たい状態をキープしてくれます。
お味噌汁など汁物以外でも、どんな時でも活用することができます。
輪島塗でデザートが出てきたらとてもおしゃれで、お友達を招待した際にもおもてなしの雰囲気を演出してくれますね。
■Point
輪島塗は和食以外に、デザートなどで利用される方も多いです。
2. 輪島塗が、豊かな暮らしをもたらしてくれる
素地に木を用い、表面に漆を施した、自然由来の輪島塗。
その吸い付くような手触りや、とろりとした口当たりの良さは、実際に使ってみてこそ違いが分かります。
私は幼い頃から輪島塗を使ってきたので、日常の食卓で輪島塗が使われるシーンは当たり前として育ちました。
しかし、大学進学で実家を離れたとき、都会の一人暮らしで市販の安価な器を使ってみたところ、手や口に触れたときの感覚がこんなにも違うものかと驚かされたのです。
艶やかな輪島塗の漆器は食卓を華やかに彩り、使うたびに幸福感をもたらしてくれます。
使い込むうちに光沢が増し、自分だけのお椀として育っていくさまも楽しいものです。
輪島塗のお椀を普段使いに取り入れ、豊かな日々の営みを感じていただければ幸いです。
3. 普段使いにピッタリのシンプルなお椀
ふっくらと丸みを帯びたシンプルなデザインの汁椀「日々」は、定番商品のひとつです。
お椀として標準的なサイズ(直径約12センチ)で、味噌汁などの汁物を入れるのに最適です。
糸底(テーブルとの接触面)は隙間なく、なめらかなカーブを描いているので、収納したときお椀の底にほこりがたまりにくく、清潔な状態を保ちます。
輪島塗の艶やかな光沢と質感を生かすため、器の表面には加飾を施さず、底部分にのみ当社ロゴマークを入れました。
輪島塗 汁椀「日々」
黒・朱・溜/各16,500円(税込)
【田谷漆器店 田谷昂大】