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輪島塗の製造工程

輪島塗の製造工程は全124の行程があります。
しかし、ここでは簡単に、どのように輪島塗が
出来上がるのかを紹介したいと思います。

木地

木地

器の形を作り出すのが、この木地作りです。木地となる原木は、大まかな型取りをした後に、燻煙乾燥させ、自然乾燥で1年ほど寝かせます。そのため、周りは黒っぽく、削りながら加工する際に中の白くきれいな部分が現れます。しっかりと木の中の水分をとばすことで、木の変形を防ぎ完成後もひび割れが起きず、耐久性があがります。
その乾燥させた木を最終的な形にしていくために、輪島塗では以下4つの方法が採用されています。
轆轤(ろくろ)の回転を利用し、刃物をあて内側と外側を削っていく、椀木地です。
光にあてると透けるぐらいの薄さになるまで削ります。名前の通りお椀の形成に適しています。
ここで用いる刃物は棒状の物で先端に刃がついており、この刃物のことをカンナと呼んでいます。
大工さんの使うカンナとは異なりますが、これもカンナなのです。
2つ目に、木を薄く挽き、形に合わせ丸めてつなげる、曲物です。この技法はお盆や丸みを帯びたお弁当箱の形成に適しています。3つ目に、板と板をコクソ漆(漆と欅の木粉)で接着し組み合わせて作る、指物という技法です。家具、重箱、膳などの形成に用います。最後に、原木からノミやカンナを用いてくりぬいていくことで形を作る、朴木地(ほうきじ)です。その名の由来は、柔らかい朴の木を用いたところからきています。細かい形成が求められる時に用いられる技法です。ここまでが木地の行程で、輪島には木地作りを専門とする木地師が独自の工房を持っています。

下地塗り

下地塗り

この行程は、輪島塗の完成後には目に見えませんが、輪島塗の大きな特徴である堅牢さを産み出すための、非常に重要な行程です。いわば、縁の下の力持ちなのが、この行程なのです。先程の木地全体に、生漆をしみ込ませ、接合部分や欠けやすい部分にコクソ漆を塗り補強することで、強度を上げます。また、生漆をしみ込ませることで、木の吸水性を抑える効果もあります。
この作業を木地固めと言います。木地固めの後は、この下地塗りでも一番の見せ場である布着せです。ふちなどの壊れやすい部分に生漆と米のりを混ぜたものを接着剤とし、布を貼付け補強します。
高級な輪島塗になると全体に布がかけられています。この作業が布着せです。
布の切れ目にある段差を平にするために、乾燥後に境目を削り、コクソ漆を塗り、さらに平にする惣身地付けが行われます。
ここで出てきた地の粉とは、輪島塗にしか用いられないもので、輪島市の小峰山から取られる珪藻土(けいそうど)を蒸し焼きにし、粉にしたものです。地の粉を混ぜることで、より頑丈になり輝きも増します。地の粉のもともとの色は黄土色で、乾燥させ、これをおがくずと一緒にオーブンに入れることで、不完全燃焼がおこり炭のような状態になります。焼きあげる前と後では、コンクリートの地面に落としたときの音の高さが異なります。焼き上げた地の粉は炭のように高い音がなります。これを粉砕機にいれ、輪島塗で使われる粉状の地の粉が完成するのです。
この惣身地付けの後に、全体を砥石で磨き上げ、漆の乗りを良くする惣身みがきが行われます。
惣身みがきの次には、地付けが行われます。地付けとは、3回の塗りと研ぎから構成されます。
まず、一辺地付けと呼ばれる、生漆と米糊、荒めの地の粉を混ぜ合わせた、下地漆を何回かに分け塗りこみ、荒めの砥石で軽く空研ぎし、次の漆がなじみやすいようにします。
この次の行程が二辺地付けです。二辺地付けとは、生漆と米糊と一辺地より細かい地の粉をまぜ合わせたものを塗りこみ水と砥石で研ぎます。この二辺地付けで用いられる下地漆は、一辺地付けよりも、より地の粉の配合の割合が大きくなっています。最後に三辺地付けです。二辺地付けよりも細かい地の粉をより配合度合いを上げ塗ります。一辺地粉、二辺地粉、三辺地粉は見た目や触っただけでは粒子の細かさは分からず、下地の段階で塗り、乾かすことで表面のざらつきに違いがあることが分かります。研ぐ段階では、最終的な形に影響を及ぼすため、時にはろくろを用いることもあります。正確な形をここで形成するのです。

中塗り

中塗り

下地より純度の高い中塗り漆を下地層にしみ込ませ、また上塗りの前の土台を作るのがこの作業です。
中塗り漆を塗った後は、塗師風呂(ぬしぶろ)に入れて乾かします。漆は、乾燥させて乾くというよりも、水分を取り込みながら固まっていくので、この作業では湿度と温度が重要になってきます。
そのための秘密兵器が塗師風呂で、杉の板でできた収納庫なのです。この塗師風呂で寝かせることによって、きれいに漆は固まっていくのです。中塗りの後は、全体のゴミを軽く特殊なカンナなどで削ることで落とし、青砥で水研ぎする中塗り研ぎが行われます。この中研ぎの際にも使う青砥は部分やや状況によって使い分けます。
この作業を2度繰り返し、最終的にゴミを取り除いて布で磨き上げる「拭き上げ」、中塗りの作業は完了です。

上塗り

上塗り

上塗りでは、最上質の漆をろ過させたものを使い、塗りムラがなく、厚すぎず薄すぎずのちょうど良い具合に塗り上げるため、刷毛も数種類用意します。上塗りは最終行程であるため、チリやホコリがつかないように、細心の注意が注がれながら進みます。そのため、チリとホコリが遮断され、外界の温度にも左右されない、上塗り専用の部屋で行われます。乾燥させる際には、漆の厚さが偏らないように、時折回転させ寝かせます。この作業をもって、輪島塗の完成です。このまま商品になる場合もあれば、加飾が行われる場合もあります。

加飾

加飾

加飾には、主に3種類があります。炭で研ぎ、生漆を何度も摺りこんでいくことで艶を出していく、呂色(ろいろ)。表面に筆で漆を塗りながら模様を描き、その漆が乾かぬうちに金粉や銀粉を蒔き、漆の模様の部分にのみ金や銀がつく蒔絵(まきえ)。漆器の表面をノミで削りながら模様を作り、その溝に漆を入れ、そこに金や銀を接着させる、沈金(ちんきん)。輪島塗では、この3種類の加飾が行われます。
蒔絵では、貝殻をはめ込む螺鈿(らでん)の技法も使われます。貝殻の真珠光が漆に色鮮やかさをもたらします。また、遠近法を出すために、金の粒子の細かさにも配慮しながらつけていきます。
沈金との大きな違いは、この金粒子の細かさの違いからくる遠近的な3次元の絵をつけれるところにあります。蒔絵で用いる筆は船ネズミの毛を採用しており、現在その毛がなかなか取れず、筆一本がとても高価な価格です。その筆を蒔絵師は、長い年月をかけ自分にあった道具にしながら使っているのです。また、沈金では溝に沈める金にも種類があります。石川県の県庁所在地金沢が誇る金箔を沈める場合もあれば、金粉を沈める場合もあります。
金粉よりも、金箔を沈める場合の方が、ムラもなくはがれにくくなります。細かなところには金粉を用います。また、金の他にも、赤やグレーなどの粉を沈める場合もあります。沈金師さんの家では、自宅用に金ではなく赤色の粉を沈めたお重があったそうです。それを弊社営業マンが是非、実用化しようということで現在は金以外の色の沈金も取り扱っております。
輪島では他にもこんな技法を採用しています。

拭き漆

拭き漆

木目のきれいな木地を選び、直接生漆を塗りこみ布で拭き取るという作業を繰り返します。
本塗り(伝統的な輪島塗の製造行程)とは異なり、短時間で少ない材料で仕上がります。
しかしながら、木目が活かされ、漆と木の融合がとれた温かみのある仕上がりになります。